実施 2024.01 ・ 更新 2026.08.17
GMOペパボが会話型AIで1620時間削減、ナレッジ更新を組み込んだ運用設計
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 問い合わせ対応に人手が取られる
- 質を落とさず窓口を効率化したい
- 同じ質問への返信が終わらない
どのようなAIの取り組み?
社内のFAQとナレッジを参照する会話型AIで顧客の自己解決を後押しし、5カ月で1,620時間の対応時間削減につなげたAI取り組み
業種
ホスティング・EC支援(情報通信)
取り組み領域
カスタマーサポート/問い合わせ対応
使ったAI
大規模言語モデル(LLM)を使った会話型AI
主な成果
5カ月で顧客対応時間を1,620時間削減
ホスティングやEC支援など10以上のサービスを手がけるGMOペパボは、2024年1月、全サービスの問い合わせ対応に大規模言語モデル(LLM)を使った会話型AIを組み込みました。このAIは質問の意図を読み取り、あらかじめ整備したFAQと社内ナレッジベースを参照しながら回答を自動で組み立てます。顧客が有人サポートの順番を待たずに自分で解決できる状態をつくることが狙いです。あわせて、精度の高い回答を出し続けられるようナレッジを継続的に更新する運用体制を整え、自動化で生まれた時間をスタッフのリスキリング(新しい技能の習得)に振り向ける取り組みも並行して進めています。5カ月間の対応時間削減と、有人対応件数の縮小、顧客満足度の上昇が報告されています。
出典:GMOペパボ、AIを活用した問い合わせ対応の自動化で、顧客満足度を88%に向上しつつ業務時間を1,620時間削減 | GMOペパボ株式会社 発行元:GMOペパボ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前のGMOペパボでは、月におよそ3,800時間もの有人対応が発生していました。10を超えるサービスそれぞれに問い合わせが寄せられ、対応にあたる担当者の負担は重く、かといって件数を抑えるために回答の質を落とすわけにもいきません。この二律背反が、カスタマーサービス部門を中心としたプロジェクト発足の出発点になっています。
編集部の見立てでは、困りごとの核心は問い合わせの絶対数ではなく、答えの在りかと顧客とのあいだに必ず人が挟まる構造にあったのではないでしょうか。FAQやナレッジという形で社内に蓄えられた情報は、担当者が読み解いて返信して初めて顧客の手元に届きます。人が唯一の通り道になっている限り、問い合わせが増えれば待ち時間と工数は同時に膨らむ。負担の実態は単純な人手不足というより、知識の届け方が一本道だったことにあると読めます。
どうやって、うまくいったのか
効いているのは、AIを動かす前にFAQと社内ナレッジベースを整え、さらにそれを更新し続ける運用体制まで含めて設計した点です。会話型AIは質問の意図を読み取って回答を組み立てますが、参照先の情報が古ければ、もっともらしい誤答が量産されます。ナレッジの整備を導入時の一度きりの作業ではなく、継続的なアップデートという定常業務として位置づけたことで、回答の質が時間とともに劣化しにくい構造がつくられました。
次に、特定の窓口に限定せず、展開する全サービスの問い合わせ対応へ横断で適用した判断も見逃せません。サービスごとに個別の応答ボットを作り込むのではなく、共通の会話型AIに各サービスのナレッジを参照させる形をとれば、整備と更新の手間は一箇所に集まります。事業が増えても仕組みそのものを作り直さずに済む立て付けです。
三つめは、自動化で生まれた時間の使い道をあらかじめ決めていたことです。定型対応をAIに寄せれば人手は浮きますが、その先が用意されていなければ、現場には縮小への不安だけが残ります。プロジェクト管理やリーダーシップを学ぶ機会を同時に設けたアプローチは、自動化を人員削減ではなく再配置の原資として扱う設計であり、現場がAIに仕事を渡しやすい空気をつくります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2024年1月から5月までの5カ月間で、顧客対応にかけていた時間は合計1,620時間減りました。有人対応の件数も2.5万件から1.6万件へと約3割縮小し、その一方で顧客満足度は86%から88%へと上がっています。負担が軽くなったことで11名のスタッフがディレクターや人事といった新しいポジションへ配置転換され、同社はこの経験をもとに中小企業向けのAI導入支援サービス「GMO即レスAI」の提供も始めました。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、質問の型がある程度決まっていて、答えがすでに文章として社内に存在している領域です。会員向けサービスのサポートや社内ヘルプデスク、施設・窓口の案内のように、FAQの形にできる問い合わせが一定の割合を占めるなら、事業規模を問わず同じ考え方を持ち込めます。反対に、契約条件や個別の設定状況を一件ずつ確認しないと答えが定まらない問い合わせや、相手の感情の受け止め方が結果を左右する場面は、この方式の射程外と見たほうが安全でしょう。参照先のナレッジを誰がどの頻度で更新するのかを決めないまま導入すると、精度が落ちた分だけ問い合わせが有人側へ戻ってくる点にも注意が要ります。
小さく試すなら、直近1カ月の問い合わせ履歴を開き、同じ趣旨の質問がどこまで上位に固まっているかを数えてみてはどうでしょうか。数件に集中しているなら、その回答文を誰が読んでも通じるFAQとして書き直すところが出発点になります。
この事例は2024年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
GMOペパボ株式会社
GMOインターネットグループの企業。ホスティング事業、EC支援事業、ハンドメイド事業など10以上のサービスを提供している。代表取締役社長は佐藤健太郎。
出典・参考情報
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