実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.17
ミスミのEC、3000万点の部品問い合わせにAIが回答し待ち時間98%短縮
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 専門的な質問の回答に時間がかかる
- 営業時間外の問い合わせに応じられない
- 商品が多すぎて客が探せない
どのようなAIの取り組み?
情報収集AIと生成AIを組み合わせ、3000万点以上の機械部品に関する問い合わせ対応を自動化し、回答までの待ち時間を約98%短縮したAI取り組み
業種
機械部品の製造・販売、ECサイト運営(製造・流通)
取り組み領域
カスタマーサポート/技術問い合わせ対応
使ったAI
生成AIチャットボット(情報収集AIと連携)
主な成果
技術サポートの回答時間が平均1時間から平均40秒へ、約98%短縮
株式会社ミスミグループ本社は、自動化装置や設備向けの機械部品をグローバルに販売しており、部品の調達には専門知識が求められることから、商品に関する問い合わせが国内だけで年間約10万件に達していました。オペレーターが電話やメールで応じる体制では回答まで平均1時間待たせる場面もあり、営業時間外にも聞きたいという要望が寄せられていました。同社はMISUMI ECサイトに生成AIを用いたチャットボットを設け、技術サポートとカスタマーサービスという2つの機能で構成しています。前者は情報収集AIが社内の商品データベースを調べ、その結果をもとに生成AIが回答を組み立てる仕組み。後者は個々の注文情報を参照し、キャンセルや変更、返品ができるかどうかをその場で判定します。
出典:顧客問い合わせに生成AIを本格導入 回答時間97%削減 | 株式会社ミスミグループ本社 発行元:株式会社ミスミグループ本社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
年間約10万件という問い合わせに対し、対応できる人数と時間には限りがあり、回答まで平均1時間待たせてしまうケースが生じていました。Web検索では情報が多すぎて目当ての仕様にたどり着けない、営業時間外にも問い合わせたいという声も届いています。注文後のキャンセルや変更、返品についても、商品やステータスごとの個別確認が欠かせず、電話が繋がりにくい状態が起きていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質は問い合わせ件数の多さではなく、回答という仕事の中身が「膨大な商品データの中から該当箇所を探し当てる作業」に強く依存していた点にあります。探す工程を人が担い続ける限り、待ち時間は人員を増やした分しか縮まりません。しかもその待ち時間は、顧客側で部品選定の手が止まる時間でもあり、調達というバリューチェーン全体の生産性を押し下げる要因になっていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
回答に必要な情報を探す工程と、回答文を組み立てる工程を分けた設計が、この仕組みの土台になっています。顧客がチャットに質問を入力すると、情報収集AIが過去の問い合わせ履歴、製品情報、仕様情報、カタログといった社内データを横断して必要な情報を特定し、生成AIはその収集結果をもとに回答をつくります。生成AIに商品知識そのものを抱え込ませるのではなく、都度一次情報を取りに行かせる構造にしたからこそ、3000万点以上という商品数を相手にしても高度な技術レベルの回答が成り立ったのではないでしょうか。
技術サポートとカスタマーサービスを別の機能として切り分けた点も見逃せません。前者が扱うのは商品そのものの仕様に関する知識、後者が扱うのは個々の注文の状態であり、参照すべきデータも判断の性質も異なります。これをひとつの窓口AIに束ねてしまえば、どちらの精度も中途半端になりかねません。役割ごとに参照先と守備範囲を定義した設計が、専門性の高い領域で自動化を成立させた分かれ目だったと読み取れます。
カスタマーサービス側で、AIに「答える」だけでなく「判定する」役割まで持たせた点も特徴的です。注文後のキャンセルや変更、返品の可否は、商品やステータスによって条件が細かく分岐し、人が一件ずつ確認していた領域でした。ここでAIに個別の注文情報を参照させ、可否の判定に加えて具体的な操作方法の案内までを一続きで返す形にしたことで、顧客が結局は人に聞き直すという逆戻りの導線を断ち切っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
技術サポート領域では、これまで平均1時間かかっていた回答スピードが平均40秒となり、約98%の時間削減に至りました。カスタマーサービス領域でも、電話対応で平均321秒を要していた完了までの時間が平均10秒へ縮まり、約97%の削減となっています。専門的な問い合わせも注文変更の可否確認も24時間受け付けられるようになった点は、単なる時短以上に、顧客の作業が止まらない状態をつくった意味が大きいでしょう。今後は納期や出荷状況の回答、チャット上での処理完結など、対応領域の拡大が予定されています。
うちでも使える?
取り扱う品目が多く、顧客ごとに注文状況や条件が異なる製造業・卸売業・EC運営では、同じ考え方を検討する余地があります。ただし前提となるのは、仕様やカタログ、過去の対応履歴、注文ステータスといった情報が電子データとして社内に蓄積され、AIが横断して引ける状態にあること。この事例で成果を支えているのは回答文の巧みさではなく、参照先の厚みだからです。
逆に、回答の根拠が担当者の経験や取引先ごとの個別交渉で決まっていたり、キャンセルや返品の可否が明文化されず現場の裁量で判断されている場合は、同じ形には持ち込みにくくなります。商品情報が紙や個人のExcelに散っている状態も同様です。
まず試すなら、直近1か月に届いた問い合わせを「商品の仕様に関する質問」と「注文の状態に関する質問」の2種類に仕分けてみてはいかがでしょうか。どちらが多いかで、参照させるべきデータの優先順位が見えてきます。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ミスミグループ本社
オートメーションの現場で必要とされる機械部品や工具・消耗品などをグローバル32.3万社以上(2025年3月時点)に販売。製造機能を持つメーカーと他社ブランド品を販売する商社の顔を併せ持ち、「グローバル確実短納期」を実現。MISUMI ECサイトでは他社ブランドを含め3000万点以上の商品を取り扱う。
出典・参考情報
顧客問い合わせに生成AIを本格導入 回答時間97%削減 | 株式会社ミスミグループ本社
発行元:株式会社ミスミグループ本社
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
