実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.17
京都銀行、生成AIによる社内規程検索で年間8,000時間の削減見込み
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内からの問い合わせ対応で手が止まる
- チャットボットのFAQ更新が追いつかない
- 規程やマニュアルを探すのに時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
登録済みFAQに頼らず、約1,000件の社内規程やマニュアルを生成AIが検索して回答を作る方式へ切り替えた事例
業種
銀行業(金融)
取り組み領域
社内ヘルプデスク/行内問い合わせ対応
使ったAI
生成AIによる文書検索・回答生成(PKSHA Chatbot)
主な成果
年間8,000時間の対応工数削減を見込む
京都銀行は、行内向けのチャットボット窓口で受ける問い合わせに対応するため、株式会社PKSHA Workplaceが提供するPKSHA Chatbotに、生成AIによる文書検索と回答生成の機能を追加しました。人手で用意したFAQ(よくある質問と回答の登録集)を引くだけでなく、社内の規程やマニュアルからAIが該当箇所を探し出し、そこを根拠に回答を組み立てる仕組みです。参照元としては約1,000件の文書が設定されています。本格運用に先立って数ヶ月間の実証実験で回答精度を検証し、その結果を踏まえ、預かり資産業務と人事・総務・システム関連業務という、問い合わせが特に集中する領域から運用を開始しました。参照対象の範囲は今後、段階的に広げられる計画です。
出典:京都銀行、「PKSHA Chatbot」上で生成AIを活用したドキュメント検索機能を活用ー対応工数を年間8,000時間削減 | 株式会社PKSHA Technologyのプレスリリース 発行元:株式会社PKSHA Technology
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
チャットボット窓口には1日平均400件程度の照会が寄せられており、以前からAIチャットボットによる自動化が進められてきました。ところが自動化を支えるはずのFAQ登録そのものが重い作業となり、登録のない質問は人が答えるしかない状態が続いていました。発生頻度の低い質問ほどFAQ作成の優先度は下がるため、答えられないケースが残ります。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は問い合わせの件数ではなく、回答を先回りして作り置きしておくという方式そのものにありました。質問の種類が広がるほど登録作業は増え、しかも増えた分のうち利用頻度の低いものは後回しにされます。自動化を進めるほど本部側の維持作業が積み上がり、それでいて自動で答えられない領域は構造的に残り続ける。件数の壁というより、仕組みの設計に由来する頭打ちだったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
手を入れる場所を、質問の受け口ではなく回答の作り方に定めたことが、この取り組みの起点になっています。FAQという中間成果物を人手で作り続ける代わりに、業務のためにもともと整備されている規程やマニュアルをAIが直接参照して回答を組み立てる。この切り替えによって、登録されていない質問はそのまま答えられない質問になる、という従来の等式が崩れました。負荷の源をなくすのではなく、負荷の発生源だった工程を回答経路から外した点に、判断の妙があります。
参照範囲を具体的に区切った設計も、実用性を左右したと考えられます。約1,000件の規程・マニュアルを参照元として明示し、対象業務も預かり資産業務と人事・総務・システム関連業務という、問い合わせが集中する領域に絞って開始しています。生成AIの回答は参照する材料の質と範囲に大きく左右されるため、答えの根拠が文書として存在する領域から始める切り分けは、精度の見極めを現実的なものにします。段階的な拡大を前提に置いた進め方とも噛み合っています。
導入の順序としては、数ヶ月間の実証実験で回答精度を確かめたうえで運用に移す形がとられました。加えて、新しい窓口を立ち上げるのではなく、PKSHA Workplaceが提供する既存のチャットボット基盤に機能を追加する構成をとっています。行員から見れば使う入口は変わらず、裏側の答え方だけが入れ替わるため、使い方の周知や運用の切り替えに伴う摩擦を小さく抑えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
数ヶ月間の実証実験では86%の検索精度が確認され、行員の9割が導入を希望するという評価が得られています。本導入によって見込まれているのは、年間8,000時間の対応工数削減です。あわせて、本部におけるFAQの作成・メンテナンス負担の軽減や、営業店で働く行員が規程を探す時間の短縮も、副次的な効果として期待されています。工数削減は現時点では見込みの段階であり、対象となる規程やマニュアルの範囲は今後段階的に拡大される予定です。
うちでも使える?
応用の可否を分けるのは、社内に寄せられる問い合わせのうち「答えが文書のどこかに書いてあるもの」がどれだけ占めるか、という点です。規程やマニュアルが体系立てて整備され、改定のたびに版が管理されている環境であれば、業種を問わず同じ発想は成り立ちます。逆に、旧版と新版が混在していたり、同じ内容が複数の文書に散らばっている状態では、AIが古い記述を根拠に回答してしまう危険があります。
もう一つ注意したいのは、問い合わせの性質です。担当者の裁量や取引先ごとの個別事情で答えが変わる相談は、文書を検索しても答えが定まりません。この事例が預かり資産業務や人事・総務・システム関連といった、規程で答えが決まる領域から始めているのは、その線引きの表れとも読めます。
まずは直近一週間の問い合わせ記録を開き、上位に来る数件について、その答えが今ある文書のどこに書かれているかを実際に辿ってみてはいかがでしょうか。辿り着けないものが目立つなら、着手すべきはAIより先に文書の側です。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社PKSHA Workplace
「働く人の知恵と繋がりを企業の力に」を事業ビジョンに、「PKSHA AIヘルプデスク」を中心としたAI SaaS製品の開発・提供を通じて、AIナレッジプラットフォームによるナレッジマネジメントを支援する、株式会社PKSHA Technologyのグループ会社。代表取締役は佐藤哲也。
株式会社京都銀行
出典・参考情報
京都銀行、「PKSHA Chatbot」上で生成AIを活用したドキュメント検索機能を活用ー対応工数を年間8,000時間削減 | 株式会社PKSHA Technologyのプレスリリース
発行元:株式会社PKSHA Technology
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