実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.17
Sansanの全社AI活用推進、社員の99%が業務利用に至った体制
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを入れたが現場で使われない
- 非エンジニアのAI習得が進まない
- 生成AIが時短につながらない
どのようなAIの取り組み?
全社方針の明示と社内の伴走支援を組み合わせ、社員の99%が業務で生成AIを使う状態をつくった取り組み
業種
DXサービスの企画・開発・販売(情報・IT)
取り組み領域
全社横断の生成AI活用推進・社内教育
使ったAI
ChatGPT Enterprise・Gemini・Notion AI(生成AI)
主な成果
社員の99%が業務で生成AIを活用
DXサービスの企画・開発・販売を手がけるSansan株式会社は、2025年1月、生成AIを業務の中核に据える「AIファースト」を全社方針として掲げました。同じ時期にAI活用のオンボーディングチームを立ち上げ、部門をまたいだ活用促進に着手しています。全社で導入済みのNotionおよびNotion AIのレクチャー、ChatGPTとGeminiの勉強会を定期的に開き、部門ごとの活用支援の仕組みも整備しました。あわせて生成AI活用の社内ガイドラインを定め、情報セキュリティ研修を拡充したうえで、ChatGPT Enterpriseのアカウントを多くの社員へ発行しています。2025年4月の社内アンケートでは、回答者の99%が業務で生成AIを活用し、71%が1日あたり30分以上の時間短縮に至りました。
出典:Sansan、社員の生成AI活用率99%を達成。非エンジニア含む全職種が業務に活用~社員98%が「仕事の質が向上した」、71%が「30分以上の時間短縮を実感」~ | Sansan株式会社 発行元:Sansan株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出発点にあったのは、生成AIを全社方針に据えたとき、ツールを配るだけでは「組織としてどう使いこなすか」までは届かない、という認識でした。非エンジニアを含む全職種に活用を根づかせることが目標に置かれ、活用体制の整備とリテラシー向上が並行して進められています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は、AIに触れる機会が足りないことではなく、使ってよい範囲と使いどころの判断が一人ひとりに丸投げされてしまう構造にあったのではないでしょうか。何に使えば成果につながるのかも、どこまで社内情報を入力してよいのかも自分で決めなければならない状態では、日々の仕事に追われる人ほど「今日はやめておこう」という判断に傾きます。個々のやる気の問題に見えて、実際には組織側が引き受けるべき判断が現場に残されていた、という読み方ができます。
どうやって、うまくいったのか
方針の発表と同じ2025年1月にオンボーディングチームを設置した進め方が、まず効いたと考えられます。号令だけが先に出て、実務の支援が数か月遅れて届く形だと、その空白期間に「うちの部署では関係ない」という空気が固まってしまいます。宣言と支援の担い手を同時に立ち上げた設計は、方針が現場に届くまでの時間差を消すことに主眼があったのでしょう。
学習の機会を単発の研修で終わらせず、定期的な勉強会として継続させた点も見逃せません。しかも入り口に選ばれたのは、全社ですでに使われているNotionとNotion AIでした。まったく新しいツールの操作を覚えるところから始めるのではなく、毎日開いている画面の中でAIに触れさせるという順序は、習得のハードルを下げるだけでなく、学んだことが翌日の業務にそのまま乗るという意味を持ちます。ChatGPTやGeminiの勉強会が続いたことで、一度きりの盛り上がりではなく、使い方が更新され続ける状態が保たれました。
ガイドラインの制定と情報セキュリティ研修の拡充を、アカウント配布と並走させた組み立ても要因の一つです。判断に迷う「これは入力してよいのか」という論点を組織側が先に引き受けたことで、現場に残る判断は「どの業務に使うか」だけに絞られました。そのうえで部門ごとの活用支援の仕組みが用意され、ChatGPT Enterpriseのアカウントが広く行き渡ったため、営業部門のカスタムGPT(業務に合わせて設定した専用のChatGPT)のように、自部門の仕事に合わせた作り込みが現場側から立ち上がる余地が生まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2025年4月の社内アンケートでは、回答者の99%が業務で生成AIを活用し、82%がほぼ毎日使っていると答えています。98%が仕事の質の向上を実感し、71%は1日あたり30分以上の時短に至りました。現場レベルでも、営業部門ではカスタムGPTの活用で商談準備の時間が一人あたり月17.8時間削減され、バックオフィス部門では調べ物を深掘りするDeepResearchによって法令調査が効率化されています。頻度と実感の数値が揃って高い点は、一部の熱心な社員だけでなく日常業務の側にAIが入り込んだことを示していると読めます。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、資料作成や調査、準備作業といった文書中心の仕事が全職種に共通してある組織です。この事例で時短が生まれたのは商談準備や法令調査といった、手順は人それぞれでも扱う対象が文章という業務でした。加えて、方針を明言できる経営層と、支援に人を割ける体制が用意できるかどうかが分かれ目になります。オンボーディングチームという専任の受け皿がなければ、勉強会もガイドラインも誰かの兼務のまま立ち消えになりかねません。
逆に、現場作業や接客が中心で就業時間の多くを画面の外で過ごす職種では、同じ形の勉強会を重ねても定着の速度は上がりにくいでしょう。取り扱う情報の大半が守秘性の高い契約書や個人情報で、外部のAIサービスに載せられる範囲が極端に狭い業務でも、この事例ほど自由度の高い活用にはなりません。全社規模でのアカウント発行にかかる費用を吸収できるかどうかも、率直に見積もっておきたいところです。
始めるなら、すでに社内で毎日開いているツールにAI機能が付いていないかを確認し、その機能を題材に一部署だけで勉強会を一度開いてみる。新しい契約を結ぶ前に試せる、いちばん短い経路です。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Sansan株式会社
「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに掲げ、働き方を変えるDXサービスの企画・開発・販売を行う企業。主なサービスとして営業DXサービス「Sansan」、名刺アプリ「Eight」、インボイス管理サービス「Bill One」、契約データベース「Contract One」を国内外で提供。資本金71億30百万円(2025年2月28日時点)。
出典・参考情報
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