実施 2023.05 ・ 更新 2026.08.17
配車計画の属人化をAI需要予測で標準化、全国46センターへ広げた食品チェーン
プロジェクト期間:2年 〜 3年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの勘に頼った配車計画から抜け出せない
- 急な注文の増減に毎回振り回されている
- 同じルートを何度も走る配送のムダ
どのようなAIの取り組み?
販売実績や暦のデータから店舗ごとの需要をAIが予測し、経験と勘に頼っていた配車・人員計画の標準化に取り組んだ事例
業種
食品スーパーのチェーン本部(卸売・小売)
取り組み領域
物流センターの配車・人員計画
使ったAI
需要予測AI「Airlake Forecasting」+データ基盤
主な成果
全国46箇所の物流センターへ展開完了
全日本食品は、全国約1,600店のスーパーマーケットが加盟するボランタリーチェーンの本部として、各地の物流センターから加盟店へ商品を届けています。その配車計画は長年、センターごとの担当者が経験と勘で組み立てるものでした。そこで株式会社DATAFLUCTと組み、予測AI「Airlake Forecasting」とデータ基盤「Airlake platform」を掛け合わせた専用システムを開発。過去の販売実績、カレンダー情報、配送曜日といったデータをAIが読み込み、店舗ごとの一日の配送金額と、センター側の取扱い金額を自動で算出します。この数字をもとに配送ルートと人員の配置を組む形へ切り替え、2023年5月の関東・北海道エリアを皮切りに、運用しながら改善を重ねて対象エリアを広げていきました。
出典:DATAFLUCTのAI物流システム、全日本食品の拠点で全国導入完了。コスト削減と属人化解消を支援 | 株式会社DATAFLUCTのプレスリリース 発行元:株式会社DATAFLUCT
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
配車計画も人員配置も、各センターの担当者が長年の経験と勘で組み立てていました。加盟店からどれだけの発注が来るかを見通せないまま計画を立てるため、日々の変動に合わせて組み直す工数がかさみ、配送トラックが一日のうちに同じルートを何度も走るといった無駄も起きていました。担当者の土地勘が効かない新規エリアや新店舗では、この負担がさらに重くなっていた。
編集部の見立てでは、困りごとの芯は担当者の技量ではなく、計画の前提になる需要の見通しが誰の手元にもなかったことにあります。見通しがなければ、どれほど熟練した担当者でも、来た注文に後から合わせる形でしか動けません。属人化はその結果として表に出た症状であり、原因はむしろ、判断の材料が個人の記憶の中にしか蓄えられていなかった点にあるのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
注目したいのは、AIの出力を各店舗の配送金額とセンターの取扱い金額という金額の形に揃えた設計です。需要予測というと商品ごとの個数を当てにいく発想になりがちですが、配車計画に必要なのは「その日そのルートにどれだけの荷が乗るか」という規模感であり、金額はその規模を一本の物差しで表せます。担当者の頭の中にあった「この曜日のあの店はこのくらい」という感覚を、そのまま計画づくりに使える数字へ翻訳したところに、この設計の狙いが読み取れます。過去の販売実績にカレンダー情報や配送曜日を組み合わせているのも、食品の発注が暦と週のリズムに強く縛られるからでしょう。
二つ目の要因は、2023年5月に関東・北海道の物流センターだけで走らせ、実運用で出てきた課題をつぶしながら対象を広げた進め方にあります。予測が現場に根づくかどうかは、精度の高さ以上に、外れたときの扱いが決まっているかで左右されます。限られたエリアで運用と改善を回した期間は、予測の精度を鍛える時間であると同時に、担当者が予測値との付き合い方を身につける時間にもなっていたと考えられます。
予測AIとデータプラットフォームを組み合わせ、専用システムとして仕立てた点も見逃せません。DATAFLUCTが予測とデータの基盤を提供し、全日本食品側が自社の販売実績と配送の実務を持ち込む——この役割分担があったからこそ、汎用の予測ツールの数字を眺めるだけで終わらず、日々の配車と人員配置に直結する出力まで踏み込めたと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
経験と勘に依存していた配車・人員計画は、予測値を土台に組み立てる標準化された手順へと置き換わりました。属人化の解消に加え、配送ロスの削減と業務効率の向上という形でも効果が現れています。先行エリアでの手応えを踏まえ、システムの展開は全国46箇所の物流センターで完了しており、コスト面の改善と、この先も維持できる配送網づくりが同時に進んでいます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、需要が曜日や暦にある程度連動し、その実績が日次で残っている業務です。食品の配送に限らず、拠点から拠点へ定期的にモノを動かしている現場なら、荷量の見通しを数字として持てるだけで計画の組み方は変わります。一方、実績が担当者の手元の紙や各自のやり方でしか残っていない場合や、取引先の入れ替わりが激しく先月の傾向が翌月には当てにならない場合は、同じようには進みません。開設したばかりの拠点のように、学習させる材料そのものが乏しい場面でも、しばらくは人の判断を併走させることになります。
まず試すなら、直近数か月の配送実績を曜日別・拠点別に並べ、担当者が事前に見込んでいた数字と突き合わせてみる。ズレの大きい曜日や店舗が浮かび上がれば、そこが予測へ置き換える価値の高い場所です。
この事例は2023年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社DATAFLUCT
「データを商いに」をビジョンに掲げ、埋もれていたデータから新たな価値を生み出すデータビジネスパートナー。非構造化データを含むマルチモーダルデータ活用に強みを持ち、データの収集・蓄積・加工・分析を一気通貫で実現する。事業内容はデータプラットフォーム構築・運用支援事業、DX推進支援・運用支援事業、サステナブルデータビジネス事業。需要予測によるロス削減、持続可能な都市計画、脱炭素に向けた行動変容などに着目した自社サービスも展開。2019年JAXAベンチャー認定企業。資本金14億9,712万円(資本準備金含む)、代表取締役CEO 久米村隼人。
全日本食品株式会社
出典・参考情報
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