実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.17
生成AIと実写の切り分けで制作リソース約90%削減、Microsoftの広告映像
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 映像制作の費用と工数が重い
- 短い納期の動画案件に追われている
- 完成イメージの共有に手間取る
どのようなAIの取り組み?
生成AIと実写を役割ごとに使い分け、広告映像の制作にかかる時間とコストを約90%削減したAI取り組み
業種
ソフトウェア・デバイス開発(情報通信)
取り組み領域
広告映像制作/クリエイティブ
使ったAI
画像・動画生成AI(Hailuo、Kling)
主な成果
制作の時間とコストを約90%削減
MicrosoftのVisual Designチームは、Surface ProとSurface Laptop for Business Copilot+ PCsの広告映像を、わずか1ヶ月で仕上げる必要に迫られていました。そこで採られたのが、生成AIを企画から仕上げまでの流れに組み込む進め方です。アイデアの視覚化には画像生成を用い、通常は数週間を要する絵コンテやプレゼン資料を数日で完成させています。プロンプトは何千回も調整を重ね、狙いどおりのキャラクターやセットの画像にたどり着きました。一方で、キーボードを打つ手のような複雑な動きは実写で撮影し、動きの少ないシーンに生成AIを充てるという分担を敷いています。生成した静止画は「Hailuo」「Kling」といった動画生成ツールに読み込ませ、自然な動きを加えました。
出典:We made an ad with generative AI - Microsoft Design 発行元:Microsoft Design
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
与えられた期間は1ヶ月。広告映像の制作としては極端に短く、予算も人手も潤沢とはいえない条件でした。映像づくりは本来、企画から絵コンテ、撮影、編集へと工程が積み上がる仕事で、前の工程が固まらなければ次に着手できません。
編集部の見立てでは、この案件の難所は撮影や編集そのものの重さというより、その手前にある「頭の中のイメージを目に見える形にし、関係者の合意を取る」までの時間にあったのではないでしょうか。数週間かかる絵コンテやプレゼン資料の作成が、後続のすべてを押し出す最初のつまずきになっていた。ここが縮まらない限り、撮影日程をどれだけ詰めても1ヶ月には収まらない構造だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
AIの弱点を消そうとせず、弱点が出る場所そのものを避けて仕事を配分した切り分けが、この短期制作を成り立たせた中核だと考えられます。キーボードを打つ手のような複雑な動きは実写で撮り、動きの少ないシーンに生成AIを充てる。手指の描写が崩れやすいという生成AIの癖を、後工程の修正で埋めるのではなく、撮影計画の側であらかじめ回避する判断です。AIの精度が上がるのを待たずに済むため、限られた期間でも見積もりの狂いにくい工程になります。
俯瞰(トップダウン)ショットを多用した構図の設計も、演出上の好みというより、破綻を抑えるための実務的な選択として読めます。上から捉える画はカットごとの見え方のばらつきが小さく、複数の生成画像を並べたときの一貫性を保ちやすい。そのうえで静止画をHailuoやKlingに渡して動きを付ける段取りにしたことで、絵柄を決める工程と動かす工程が分離され、片方をやり直しても全体が崩れにくい作りになっています。
プロンプトの調整に何千回もの試行錯誤を重ねた点は、生成AIを一発勝負の道具として扱っていないことの表れでしょう。狙った画が出るまで回数を重ねられるのは、1回の試行が軽く済む工程に生成AIを置いているからで、ここでも工程の組み立てと道具の性質がかみ合っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
本来なら膨大なリソースを要する広告映像の制作を1ヶ月で完遂し、かかる時間とコストは約90%削減されています。注目したいのは、浮いた分の使い道です。削減できた時間をアイデアの創出やクリエイティブの磨き込みに戻すことで、進めながら方向を変えられるアジャイルな制作フローにつながりました。効率化が品質を削る方向ではなく、考える時間を買い戻す方向に働いている点に、この成果の質が表れています。
うちでも使える?
応用が利きそうなのは、製品紹介や社内教育用の動画のように、人物の細かな手元動作が主役になりにくい映像です。企画段階の絵コンテやプレゼン資料を早く目に見える形にしたい、という用途だけを切り出しても効果はあるでしょう。逆に、実在する製品の外観を正確に見せる必要がある場面や、細部の描写に厳しい基準がある案件では、生成物の確認と手直しに時間が戻ってきます。何千回という試行を回せる時間と人手が確保できるかどうかも、成否を分ける現実的な条件になります。
はじめの一歩としては、いま抱えている映像案件のカット表を開き、「動きが少ないカット」と「手元や動作が映るカット」に線を引いて分けてみること。その比率が、生成AIをどこまで使えそうかのおおよその見当になります。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:メディア・広告・出版
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
Microsoft
Windows および Surface を展開する企業。Windows + Devices Visual Design チームが、広告、シズル動画、写真、3D製品レンダー、モーションデザインの制作を担っている。
出典・参考情報
We made an ad with generative AI - Microsoft Design
発行元:Microsoft Design
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
