実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.17
アスクル、AI需要予測で倉庫間の在庫移動を自動計画し指示工数75%削減
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの勘頼みの在庫の割り振り
- 急な追加配送に振り回される日々
- 担当者が替わると回らない計画業務
どのようなAIの取り組み?
AIによる需要予測で倉庫間の商品移動の指示づくりを自動化し、指示作成の工数を約75%削減したAI取り組み
業種
オフィス用品・日用品の通信販売(卸・小売)
取り組み領域
物流/拠点間の在庫移動計画
使ったAI
AI需要予測システム(自社開発)
主な成果
横持ち指示の作成工数を1日あたり約75%削減
オフィス用品や日用品の通信販売を手がけるアスクルは、物流センター近くに設けた補充倉庫と各拠点のあいだで商品を動かす「横持ち」の計画づくりに、AIによる需要予測を持ち込みました。システムは自社で開発し、過去のデータと需要の見通しをもとに、いつ・どこからどこへ・どの商品を何個運ぶかという指示までを自動で算出します。賞味期限や使用期限のある期限管理品については、日次で細かく在庫を追える仕組みを別途つくり、置き場所を計画的に決められるようにしました。担当者の経験と勘に支えられていた計画作成は、これによってデータを起点とする進め方へ切り替わっています。
出典:アスクル、物流センターと補充倉庫間の商品横持ち計画にAI需要予測モデルを活用、予測精度の向上と作業工数削減を達成 | アスクル株式会社のプレスリリース 発行元:アスクル株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
横持ちの計画は長らく担当者の経験と知見に頼った手作業で、精度が人によってぶれ、緊急の輸送が繰り返し発生していました。中期経営計画で取扱商品を増やし、補充倉庫を使って出荷能力を引き出す方針を掲げていた以上、この手運用がいずれ立ち行かなくなるという見通しもあったはずです。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は計画づくりの手間そのものではなく、判断の根拠が個人の頭の中にしか存在せず、外から検証も再現もできなかったことにあります。根拠が見えなければ、予測が外れた理由も突き止められず、ずれた分は臨時便で埋めるほかありません。扱う商品と倉庫が増えるほど、この構造は加速度的に重くなっていきます。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、AIの出力を予測値で止めず、いつ・どこからどこへ・何を・いくつ運ぶかという、そのまま実行できる指示にまで落とし込んだ設計です。需要の見通しを提示するだけの仕組みであれば、それを移動計画へ翻訳する工程が結局は人の手に残り、そこに経験差が入り込みます。判断の最後の一段までをシステム側に引き受けさせたことが、属人性の抜け道を塞いだのではないでしょうか。
もう一つの軸は、期限管理品を日次で管理する仕組みを最初から組み込んだ点にあります。期限のある商品は運ぶ量だけでなく置く場所と順序まで気を配る必要があり、扱いが難しいぶん、標準の仕組みからは外して人が個別に見る対象になりがちです。この難所を例外扱いせず日単位で追えるようにしたからこそ、補充倉庫を戦略的な保管先として使う判断が成立した。自社開発という進め方も、こうした業務固有の条件を削ぎ落とさずに設計へ織り込むうえで働いたと考えられます。
補充倉庫に余剰在庫を置いて出荷能力を引き出すという在庫配置の方針と、それを日々回す仕組みを同時に組み立てた点も見逃せません。商品数や倉庫の拡張を前提に計画ロジックを設計しておけば、規模が変わっても同じ枠組みのまま扱えます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
横持ち指示の作成にかかる工数は、1日あたり約75%削減されました。予測精度が上がったことで緊急の臨時便が減り、それに付随する入出荷作業の工数も約30%減少。期限管理品を補充倉庫へ適切に保管できるようになった結果、センター内の不要な商品移動が減り、フォークリフト作業の工数も約15%削減されています。数値以外では、商品の追加や倉庫の拡張といった変化に柔軟に対応できる体制が整い、担当者が替わる際の引き継ぎ負担も大きく軽くなりました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、複数の拠点や倉庫を持ち、そのあいだで在庫を動かす判断が日常的に発生していて、過去の出荷実績がデータとして残っている業務です。製造業の部品供給や小売の店舗間移動など、業種が違っても構造が似ていれば同じ考え方を持ち込めます。
一方で、移動の判断が月に数回程度しか起きない規模では、仕組みを組む労力に見合いません。受注が単発の大型案件に左右され、過去の出荷が将来の目安になりにくい商材や、どこに何を置けるかという保管条件が現場ごとの口頭の取り決めで決まっている場合も、そのままでは自動算出の前提が組めません。この事例でも期限管理という難しい条件をシステムに載せる作業が伴っており、既存の運用ルールを仕組み側に合わせて変える調整は避けて通れないでしょう。
手をつけるなら、直近1か月に発生した緊急便や臨時対応を1件ずつ取り上げ、なぜ在庫が足りなかったのかを書き添えてみる。判断のずれがどこで生まれているかが見えれば、AIに任せるべき範囲の輪郭が浮かび上がります。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
プロジェクト実施・導入企業
アスクル株式会社
商業(卸売業、小売業)を営む企業。代表取締役社長は吉岡晃、東証プライム上場。物流センターと近郊の補充倉庫を活用した全国の物流拠点網を持ち、在庫商品の拡充・品揃え拡大を中期経営計画に掲げている。
出典・参考情報
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