実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.17
ロイヤルホストと天丼てんやのAI需要予測、物流・仕入計画まで広げる実証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 食材の廃棄ロスが減らない
- 発注がベテラン頼みになっている
- 在庫の持ちすぎと品切れを繰り返す
どのようなAIの取り組み?
AIの需要予測を店舗の自動発注にとどめず、物流センターの在庫計画や青果の仕入・製造計画にまでつなげ、需給調整の一気通貫を検証しているAI取り組み
業種
外食チェーン(飲食・サービス)
取り組み領域
店舗の食材発注・在庫/サプライチェーン
使ったAI
AI需要予測による自動発注サービス(HANZO 自動発注)
主な成果
適正な在庫管理が実現しつつあり、物流・仕入計画への予測連携は実証実験中
ロイヤルホールディングスを中心とするロイヤルグループが、Goals、双日食料、デリカフーズとの4社共同で「需給調整プラットフォーム構築プロジェクト」を進めています。2025年2月、ロイヤルホストと天丼てんやでGoalsの外食事業者向けAI需要予測サービス「HANZO 自動発注」の運用を開始し、商品の出数傾向や客数予測、天気予報などのデータからAIが食材の使用量を予測して発注業務を自動化する形をつくりました。同年8月からは天丼てんやの一部商品を対象に実証実験へ進み、店舗で蓄積された予測データを物流センターの入出庫計画や在庫計画、さらにデリカフーズの青果仕入計画や製造計画へ連携させる検証が続いています。
出典:news20250827_11.pdf 発行元:ロイヤルホールディングス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
外食の食材発注は長年の経験や勘に頼りがちで、担当者ごとにやり方が固まってしまう属人化と、過剰在庫による食品ロスが同社グループでも課題になっていました。加えて、店舗が持つ発注データが物流センターや調達部門と十分に連動しておらず、全体最適に壁があったことも明記されています。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は「予測が当たらないこと」ではなく、需要の情報が店舗という川下で生まれたまま、川上へ流れていかない構造にあったのではないでしょうか。情報が渡らなければ、物流センターも調達部門も自分の手元にある不確かさを在庫という形で吸収するしかありません。属性の異なる無駄が各段階に少しずつ積み上がり、どこか一箇所を直しても全体が軽くならない。発注担当者の負担は、その構造のいちばん端に現れた症状だったと読むこともできます。
どうやって、うまくいったのか
店舗の発注自動化をまず立ち上げ、そこで蓄積された予測データを次の段階で外へ流すという二段構えが、この取り組みの骨格になっています。2025年2月に運用を始めた自動発注が動き続けることで、店舗には日々の予測値が実データとして貯まっていきます。この順番を踏んだことで、物流や調達へ渡す情報が机上の計画値ではなく、現場で使われている生きた数字になったと考えられます。連携の設計は、渡すものが先に育っていなければ成立しません。
予測の材料を、店舗運営の実感に近いデータへ寄せた点も見逃せない工夫です。商品の出数傾向、客数予測、天気予報といった要素は、いずれも店長やスタッフが普段から気にしている情報で、AIが弾き出した数量に納得しやすい素地があります。自動発注は、現場が結果を信じられなければ結局は手で上書きされてしまう性質の仕組みで、入力の選び方はその信頼に直結します。
対象を天丼てんやの一部商品に絞り込んだ実証の組み立て方も、この規模の連携を前に進めるうえで現実的な判断だったのではないでしょうか。店舗はロイヤルグループ、AI予測はGoals、物流は双日食料、青果の仕入と製造はデリカフーズと、4社がそれぞれ自社の計画領域を持ち寄る形で分担しており、範囲を広げるほど調整すべき相手も増えていきます。狭い品目で一本の流れを通してから広げる進め方は、全社一斉の刷新に比べて検証の粒度を保ちやすい設計です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
AIによる需要予測を活用することで、必要な量の食材を適切なタイミングで仕入れる適正な在庫管理が実現しつつあります。食材が過剰に滞留しなくなったことで、より新鮮な状態で商品を提供できる体制が整い、品質面にも寄与しています。一方、店舗の発注業務の代替や物流センターの保管スペース縮小といったサプライチェーン全体の無駄削減については、店舗運営の大幅な効率化として期待されている段階です。今後は実証実験で効果を検証しながら、対象業態や品目を段階的に拡大していく展望が示されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、需要の変動が読める材料を手元に持っている業務です。日々の出数や来客数、天候のように、記録が残っていて理由が説明できる変数が揃っていれば、予測を発注や生産計画へ落とし込む筋道は小売業や製造業でも同じように引けます。逆に、この事例の核心である川下から川上へのデータ連携は、ハードルが高い部分でもあります。本事例は4社が同じプロジェクトの枠組みに入って初めて成立しているもので、取引先とデータ形式やセキュリティの取り決めが結べない関係では、自動発注までは届いても、その先の在庫計画や仕入計画への連携は途中で止まりやすいでしょう。
最初の一歩としては、社外を巻き込む前に、社内で完結する範囲を一本試してみる形が取り組みやすいはずです。一つの拠点、一つの品目で、実際の発注量と、過去の出数や来客数から機械的に計算した推奨量を数週間並べて比べてみる。差がどこで開くのかが見えれば、AIに任せられる部分と人の判断が要る部分の境目が具体的に分かってきます。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Goals
外食企業向け業務支援クラウドサービスの開発・販売・運用支援。「食品産業の、ロスをなくす。」をミッションに掲げ、AIによる需要予測でDXを推進。外食事業者向けAI需要予測サービス「HANZO自動発注」を提供。
ロイヤルホールディングス株式会社
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