実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.17
サミットが全123店舗でAI自動発注、提案採用率95%を支えた設計
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 発注量の判断がベテラン頼み
- 欠品と売れ残りが交互に起きる
- 毎日の発注作業に時間を取られる
どのようなAIの取り組み?
AIによる需要予測と自動発注を全123店舗のグロサリーへ広げ、提案採用率95%で運用しているAI取り組み
業種
食品スーパーマーケット(小売)
取り組み領域
店舗の発注業務/在庫・配送管理
使ったAI
需要予測型自動発注システム(日立製作所 Hitachi Digital Solution for Retail)
主な成果
自動発注の提案採用率95%、欠品改善と在庫低減を確認
首都圏で食品スーパーを展開するサミット株式会社は、日立製作所の需要予測型自動発注システム「Hitachi Digital Solution for Retail」を採用し、2024年10月から全123店舗で運用しています。対象は加工食品や日用品といったグロサリー、つまり常温で扱う食品・雑貨の領域です。AIが売れ行きを予測して発注量を提案し、現場がその提案を採るかどうかを判断する形になっています。運用に先立って、過去の販売データや特売情報を予測に使える状態へ整える作業が行われました。仕組みは店舗の中で完結せず、倉庫の在庫や配送管理のシステムともつながっており、メーカーや倉庫から店舗までの流れ全体を対象にしています。2025年9月からは、生鮮食品への適用も一部店舗から順次始まる予定です。
出典:日立、サミット全店に需要予測型自動発注システムを導入 サプライチェーン全体最適化に向けたシステムの検討へ:日立 発行元:株式会社日立製作所
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
この取り組みの出発点にあるのは、人手が減っていく前提で店舗を回さなければならないという現実です。生産年齢人口の減少に加え、トラックドライバーの時間外労働に上限が設けられた「物流2024年問題」が重なり、店舗の作業も納品の段取りも、従来と同じやり方では成り立ちにくくなっていました。発注は担当者の経験に依存しやすく、欠品と過剰在庫のどちらも起こりうる状態です。
編集部の見立てでは、困りごとの芯は「発注に手間がかかること」よりも、発注という判断が店舗という単位に閉じていたことにあります。何をどれだけ頼むかは各店の感覚で決まり、その判断が倉庫の在庫や配送の積み合わせにどう跳ね返るかは店舗からは見えません。個々の店舗がそれぞれに最善を尽くしても、緊急配送や納品遅延といったムダは上流に残り続ける構造だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
先に手が付けられたのは、AIそのものの導入ではなく、過去の販売データや特売情報を予測に使える状態へ整えることでした。食品スーパーの売れ行きは、特売の打ち方ひとつで大きく振れます。その振れを説明できる材料が揃っていなければ、予測は平常時にしか当たらず、現場は結局自分の手で数字を作り直すことになります。実用性を先に確保するというこの順序が、提案を使ってもらえる土台をつくったと考えられます。
もう一つの柱は、発注の自動化を店舗の中で閉じさせず、倉庫の在庫データと配送管理の仕組みにつないだ設計です。発注を店舗単位でだけ最適化すると、必要な量は満たせても、そのしわ寄せは出荷や配送の側が受け止めることになります。上流の在庫状況と輸送の都合まで同じ土俵に載せたことで、適切な量を適切なタイミングで送るという判断が初めて成立します。省人化の話に見えて、実際にはサプライチェーンの設計そのものに踏み込んでいる点が、この取り組みの性格を決めています。
対象を加工食品や日用品といった常温商品から始め、生鮮食品を後段に置いた順序も効いています。生鮮は日持ちがせず、事前の需給計画を組んだうえで扱う必要があるため、予測の難度も運用の難度も一段上がります。振れの比較的小さい領域で全123店舗まで運用を広げ、仕組みと現場の慣れを先につくってから難しい領域へ進む段取り。これが、適用範囲を広げるときの失敗コストを抑える設計になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
運用開始後、自動発注システムが出す提案は95%という高い割合で採用され、現場に定着しています。提案が実際に使われている事実そのものが、予測の当たり具合に対する現場の評価を映しているといえます。発注業務の省人化に加え、欠品の改善と在庫の低減も確認されました。店舗の保管スペースにおける在庫の過不足の低減や食品ロスの削減、納品遅延・緊急配送といったムダの排除は、今後に期待される効果として位置づけられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、同じ商品を繰り返し発注していて、販売実績と販促の記録が形になって残っている業務です。製造業の部品手配や飲食店の食材管理のように、需要が読みにくく発注判断が毎日発生する領域とは相性がよいでしょう。加えて、自社の倉庫や配送の情報に手が届くなら、店舗側の省力化にとどまらず、上流のムダまで含めて効果を取りにいけます。
一方で、条件が揃わない場合もあります。取扱商品の入れ替わりが速く販売履歴が短い、あるいは天候や鮮度で毎日の条件が変わり事前の需給計画が欠かせない商材では、この事例が生鮮を後段に置いたのと同じ難しさに直面します。物流を外部に委ねていて在庫や配送の状況が共有されない場合も、効果は発注作業の軽減までにとどまりやすいはずです。
まずは直近の特売週をひとつ選び、いつ・どの商品を・いくらで押したかが記録だけから復元できるか確かめてみてはいかがでしょうか。それが再現できないなら、予測の精度以前にデータ整備が先だという答えが出ます。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社日立製作所
データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進。「デジタルシステム&サービス」「グリーンエナジー&モビリティ」「コネクティブインダストリーズ」の3セクター体制で、ITやOT、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じて顧客や社会の課題解決に取り組む。3セクターの2023年度(2024年3月期)売上収益は8兆5,643億円、2024年3月末時点で連結子会社は573社。
サミット株式会社
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
