実施 2024.11 ・ 更新 2026.08.17
博報堂DYが著名クリエイターの企画手法をAIに学ばせたコンセプト開発の型化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの企画力が本人頼み
- アイデア出しに時間がかかる
- 社員によって提案の質がばらつく
どのようなAIの取り組み?
著名クリエイターの企画手法をAIに学習させ、対話しながらコンセプトを組み立てる仕組みを社内向けに整えたAI取り組み
業種
広告代理店(広告・マーケティング)
取り組み領域
コンセプト開発・企画立案
使ったAI
生成AI(コンセプト開発支援システム「STRATEGY BLOOM CONCEPT」)
主な成果
初期のアイデア創出段階の業務が大幅に効率化
広告会社の企画部門で、コンセプト開発の進め方そのものをAIに載せた取り組みです。株式会社博報堂DYホールディングスと株式会社博報堂テクノロジーズは、統合マーケティングプラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM」の中に、コンセプト開発を支援する「STRATEGY BLOOM CONCEPT」を開発しました。クリエイターの細田高広氏が提唱する「インサイト型ストーリー」の手法を学習させたAIが、入力されたクライアントの課題に対し、生活者調査データを基に「ターゲット」「インサイト」「競合」「ベネフィット」の候補を複数示します。利用者はその提案を材料に考えを整理し、最終的に価値を端的に伝える1行のキーフレーズまで磨き上げ、コンセプトシートが自動で生成される流れになっています。
出典:博報堂DYホールディングス、博報堂テクノロジーズ統合マーケティングプラットフォームBLOOMにて「STRATEGY BLOOM CONCEPT」を開発 | コーポレートニュース | 博報堂DYホールディングス 発行元:博報堂DYホールディングス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
市場の飽和や消費活動の変化を受け、投資先を新しい成長領域へ移す企業が増えるなかで、広告会社の側にも提案の幅とスピードが求められるようになっていました。ところが、企画力やコミュニケーション設計のノウハウは専門スタッフの間で仕事を通じて受け継がれる性質が強く、社内へ実践的な形で広がりにくい状態が続いていたとされています。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は人材の数や育成期間の長さではなく、優れた企画が生まれるまでの思考の道筋が言葉になっていなかったことにあります。手順として書き出されていないものは、隣で見て真似るしか受け渡す方法がありません。教える側の熱意や研修の回数を増やしても伝わりにくいのは、そもそも伝えるべき中身が形を持っていなかったからではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
学習させる対象を「良い企画とは何か」という漠然とした感覚ではなく、特定の手法として名前のついた型に絞り込んだ点が、この取り組みの起点になっています。インサイト型ストーリーという既に体系化された考え方を土台に据えたことで、AIが扱うべき出力の形が「ターゲット」「インサイト」「競合」「ベネフィット」という四つの枠に分解されました。何を考えるべきかが枠として先に決まっていれば、経験の浅い人でも思考の抜け漏れに気づけます。暗黙知を学習させる難しさは、量よりも「何を学ばせるかを定義できるか」に集約されるという構造が、ここに表れています。
画面の左側にAIの提案、右側に利用者の記入領域を置いたインターフェース設計も、成否を分けた要素と考えられます。この配置は、AIを答えを出す装置ではなく壁打ちの相手として扱う姿勢を、操作の形そのものに埋め込んだものです。提案がそのまま成果物になる作りであれば、利用者は受け取るだけの立場に固定されますが、書き込む場所が常に隣にあることで、選ぶ・直す・言い換えるという判断が自然と人の側に残ります。人が最終決定するという原則を運用ルールではなく画面構造で担保したやり方は、他の領域にも移しやすい考え方です。
出口を1行のキーフレーズとコンセプトシートに定め、そこへ至る道筋に「記号化」や「矛盾法」といった構文を用意した設計も見逃せません。候補を並べるだけで終わらせず、絞り込みの作法まで含めて型に組み込んだことが、初期段階の作業を実際に前へ進める力になったと読めます。生活者調査データを候補生成の材料に据えている点も、思いつきの連想と、根拠のある仮説とを分ける役割を果たしています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
AIが壁打ち相手として機能することで、初期のアイデア創出段階の業務が大幅に効率化されています。提示される手順に沿って情報を入力していけば、プラニングの初心者や専門スタッフ以外の社員でも質の高いコンセプト開発ができる状態になった点が、この取り組みの中心的な変化です。今後は他の有名クリエイターの実践知も搭載し、クライアントのニーズや担当者の個性に応じてAIを選べる環境の整備が予定されています。大規模なアンケートデータなどとの連携を深め、マーケティング戦略からクリエイティブ戦略までを通した業務の高度化も目指されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、成果物の質が個人の経験に左右されていて、なおかつその判断の道筋を四つ前後の観点に分けて説明できる業務です。営業提案の組み立て方や商品企画の発想の順序など、優れた担当者が頭の中で通っている順番を言葉にできるなら、同じ構造を持ち込めます。判断材料となるデータを社内に持っていることも、候補の質を左右する条件になります。
一方で、この事例が成り立った前提には、インサイト型ストーリーという既に体系として提唱されている手法が存在していた点があります。誰の頭の中にも共通の型がなく、担当者ごとに進め方がばらばらな領域では、AIに学習させる前段階でつまずきます。また、出来上がったものの良し悪しを人が短時間で見極められない業務では、壁打ち形式そのものが機能しません。
まずは直近で仕上げた提案を一つ取り上げ、そこで自分が何をどの順に決めたのかを四つ程度の見出しに区切ってみる。その区切りが他人にも通じるなら、AIに候補を出させて比べる価値のある領域です。
この事例は2024年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:営業
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社博報堂DYホールディングス
東京都港区に所在する博報堂DYグループの企業(代表取締役社長:水島正幸)。統合マーケティングプラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM」を開発し、株式会社博報堂テクノロジーズ(東京都港区、代表取締役社長:米谷修)とともにコンセプト開発支援プロダクト「STRATEGY BLOOM CONCEPT」を開発、社内での利用を開始した。
出典・参考情報
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