実施 2024.07 ・ 更新 2026.08.17
ファミリーマート約7,000店舗のAIアシスタントに生成AI、音声でマニュアル検索
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- スタッフからの質問電話が絶えない
- マニュアルを探すのに時間がかかる
- 過去データの抽出が毎回手作業
どのようなAIの取り組み?
約7,000店舗に配備済みの人型AIアシスタントに生成AIを組み込み、業務マニュアルの音声検索と過去の販売実績の参照を可能にしたAI取り組み
業種
コンビニエンスストア(小売)
取り組み領域
店舗運営/マニュアル参照・販売データ照会
使ったAI
生成AIを搭載した人型AIアシスタント(音声検索)
主な成果
SVによる手作業のデータ抽出が不要に
ファミリーマートは、全国約7,000店舗に配備している人型AIアシスタント「レイチェル/アキラ」に生成AIを組み込み、店舗業務の調べもの窓口として使えるよう機能を広げました。開発を支援したのはクーガー株式会社で、自然言語技術やゲームAI技術、膨大なデータを高速に扱う検索技術を持ち寄っています。拡張された機能は大きく二つ。レジ操作やスタッフ育成、緊急時の対応といった業務マニュアルを音声で呼び出せるようにしたこと、そして割引やクーポンなど過去に実施した施策の販売実績を、アシスタント経由で直接引き出せるようにしたことです。あわせて自然言語処理の類義語を増やし、現場の言い回しを受け止める精度を高めています。
出典:店長業務をサポートする人型AIアシスタント 生成AI搭載により業務マニュアルの音声検索が可能に|ニュースリリース|ファミリーマート 発行元:株式会社ファミリーマート
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
マニュアルそのものは整っていて、店舗事務所の端末から検索できる運用も敷かれていました。それでも現場では、店舗責任者が席を外している時間帯を中心に、スタッフが責任者やスーパーバイザー(SV)へ電話で直接尋ねる場面が繰り返され、聞かれた側の仕事は中断し、尋ねた側も答えが返るまで手を止めることになっていました。施策を打つ場面でも、過去の類似企画の販売実績を見るにはSVが手作業でデータを抜き出すしかありませんでした。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは情報が足りないことではなく、情報にたどり着くまでの経路が現場の働き方と噛み合っていなかったことにあります。売場から事務所へ移動し、端末に向かって文字で調べるという手順は、手が離せない状況では電話一本に負けてしまう。データ抽出も同じ構図で、必要な数字は社内にあるのに、取り出せる人が限られているために人を介する経路しか残っていなかったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
注目したいのは、新しい仕組みを別に持ち込むのではなく、すでに約7,000店舗へ置かれている人型AIアシスタントの機能を広げる形をとったことです。現場から見れば、話しかける相手も置き場所も昨日までと変わらず、増えたのは尋ねられる内容だけ。新しい端末や専用アプリを配って操作を覚え直させる立ち上がりの負担が発生しないという点で、この上乗せ型の拡張は現場に届きやすい設計だと考えられます。
マニュアル検索の入口を音声に置いた判断も、店舗という作業環境をよく見たうえでの選択でしょう。レジ対応や品出しの合間に生まれる疑問は、キーボードを打てる場所まで移動している間に、聞いたほうが早いという判断へ流れます。話しかけるだけで答えが返る経路を用意すれば、その分岐自体が起きにくくなる。検索の対象をレジ操作、スタッフ育成、緊急時対応といった業務マニュアルに定めていることも、生成AIの回答範囲を現場が確かめられる大きさに保つうえで効いているはずです。
生成AIを載せて終わりにせず、自然言語処理の類義語を追加している点は見逃せません。現場が口にする言葉はマニュアルの見出し語と一致しないことのほうが多く、同じ操作を指す呼び方は店舗によっても人によっても揺れます。この揺れを吸収する地道な言葉の手当てがあってはじめて、音声で尋ねるという入口が実用に耐えるものになる。さらに過去の販売実績の参照まで同じアシスタントに載せたことで、調べものの行き先が一つにまとまり、人を介さないと取り出せない情報という状態が解かれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
音声でのマニュアル検索が使えるようになったことで、店舗責任者やSVへの電話問い合わせの削減と、店舗オペレーションの負担軽減が見込まれています。一方ですでに形になっているのが販売実績の参照で、SVが手作業でデータを抽出する必要はなくなりました。店長は過去の実績を踏まえた販売計画の立案や売場づくりに素早く取りかかれるようになり、店舗運営力のさらなる向上が期待されています。
うちでも使える?
応用の見込みが立ちやすいのは、答えの載った文書はそろっているのに、それを開ける場所と実際に働く場所が離れている職場です。厨房、工場のライン、施設の巡回など、手や視線がふさがる仕事では、話しかけて調べられることの価値がそのまま効いてきます。すでに現場へ置かれている端末や機器があるなら、それを窓口として広げる発想も同じように使えるはずです。
反対に、そのまま持ち込みにくい場面もあります。この事例で音声検索の対象になっているのは、レジ操作や緊急時対応のように手順が文書として定まっている領域であり、客ごとの事情を汲んで決めるような相談は一問一答の形に載せにくい。類義語をそろえて精度を上げる作業にも手間がかかり、約7,000店舗という規模だからこそ引き合う面があります。拠点が少ないなら、質問の多い数十項目に絞って始めるほうが現実的でしょう。
まず試すなら、次にスタッフから質問の電話を受けたとき、その人が使った言い回しを言われたとおりに書き留めてみてください。その言葉がマニュアルの見出しのどこにも無いなら、検索でたどり着けない理由はそこにあります。
この事例は2024年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クーガー株式会社
自然言語技術、ゲームAI技術、膨大なデータを迅速に処理する検索技術などを有する企業。代表取締役CEOは石井敦。
株式会社ファミリーマート
出典・参考情報
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