実施 2024.12 ・ 更新 2026.08.17
出光興産、配車計画をAIと最適化で自動生成し作成時間25%削減を目指す
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 配車やルート組みに時間を取られる
- ベテランの勘頼みの計画づくり
- 需要の読み違いで在庫が振れる
どのようなAIの取り組み?
AIの需要予測と最適化モデルを組み合わせ、燃料油の配車計画を自動生成する仕組みを構築したAI取り組み
業種
石油元売・燃料油販売(エネルギー)
取り組み領域
配車計画/燃料油の配送物流
使ったAI
需要予測AIと最適化モデル(数理最適化)
主な成果
練度によらず短時間で計画作成できる体制が整い、作成時間25%削減を目指す
出光興産の燃料油配送では、約70名の配車担当者が1日およそ5,000件の配送オーダーに対応し、最大1,800台のタンクローリーへ荷物を積み合わせていました。アクセンチュアの支援のもと、この配車計画づくりを担う新システムが開発されています。まずAIが季節や曜日といった条件を学習してサービスステーション(SS)ごと・油種ごとの需要を予測し、その予測と在庫量をもとに最適化モデルが計画配送を組み立て、特約販売店からのオーダーも含めた積み合わせ候補を作成します。そのうえで配送時間や車両サイズの条件を踏まえてタンクローリーとのマッチングまで行い、配車計画を自動生成する流れです。算出された計画には、担当者が現場の個別事情に応じた微調整を加えられます。
出典:241211.pdf 発行元:出光興産株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
1日約5,000件のオーダーを最大1,800台のタンクローリーへ割り振る作業には、SSごとの販売量の見通し、車両のサイズ、配送時間、さらに配送先それぞれの個別事情まで、性質の異なる条件が同時に絡みます。約70名の担当者がこれを日々さばいていたものの、計画の立案には膨大な時間がかかっていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は処理する件数の多さそのものではなく、条件同士が互いに影響し合うために「これが正解」と言い切れる計画が存在せず、どこで折り合いをつけるかの判断が担当者一人ひとりの経験の内側に閉じていた点にあるのではないでしょうか。判断の物差しが言葉になっていなければ、時間をかけて出した答えが妥当だったのかを後から確かめる手立てもありません。物流の「2024年問題」という外部環境の変化は、その構造を先送りできないものにしたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
システムの出した計画を最終決定として押し付けず、担当者が個別事情に応じて手を入れられる余地をあらかじめ設計に組み込んだことが、実運用に耐える鍵になったと見ています。「デジタルと人知のベストミックス」というコンセプトは、聞こえのよい標語というより、機械が扱える条件と扱えない条件を線引きする実務的な判断です。配送先の細かな事情のようにデータ化しづらい要素まで自動化の対象に含めようとすれば、精度は上がらず現場の信頼も得られません。調整の余地を残す設計は、AIの守備範囲を意図的に狭めることで、かえって使われる仕組みにしたと言えます。
処理を一段階でまとめず、予測と最適化に役割を分けた組み立て方も効いています。AIが季節や曜日から油種別の需要を読み、その結果と在庫量を受け取った最適化モデルが計画配送と積み合わせ候補を作り、最後に配送時間や車両サイズの制約でタンクローリーとマッチングする——という順序は、性質の異なる問題をそれぞれ得意な手法に割り当てる考え方です。段階が分かれていれば、計画に違和感があったときに予測が外れたのか割り当ての条件が合わないのかを切り分けられます。
実証段階から現場の配車担当者を開発に参画させたアジャイル開発と、稼働後もアクセンチュアの開発者が現場に常駐する伴走の体制は、完成品を引き渡して終わりにしない進め方として注目に値します。プロトタイプに触れながら意見を反映していく過程は、要件を固めきれない業務ほど有効で、同時に「自分たちが関わって作ったもの」という当事者意識を担当者側に育てる効果もあったのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
新システムにより、配車担当者の練度にかかわらず高品質な配車計画を短時間で作成できる体制が整いました。AIと最適化モデルの処理能力に担当者の知見を重ねる形をとったことで、取引先の満足度を保ちながら業務の効率化が進んでいます。作成時間そのものについては、配車担当者全員がシステムを利用する状態になったうえで従来比25%の削減を目指す段階にあり、数値はまだ実績ではなく目標として掲げられています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、割り当てのルールを制約条件として書き出せて、判断の材料になる実績データが業務システムに残っている領域です。製造業の生産計画や小売の配送ルート編成のように、条件が多くて手作業では組み合わせを試しきれない業務ほど、機械に候補を作らせて人が仕上げる分担が噛み合います。
一方で、慎重に見たほうがよい条件もあります。担当者が加える微調整があまりに多岐にわたり、出てきた案をほぼ作り直すような状態であれば、二度手間が増えるだけで時間は縮みません。需要予測の土台になる販売実績や在庫の記録が紙や個人の管理簿にとどまっている場合も、まず記録の整備が先になります。加えて本事例は開発パートナーの常駐を含む継続的な支援を伴っており、作って終わりの発注では同じ形にならない点も踏まえておきたいところ。
まずは直近一週間の計画を見返し、ルールで説明のつく判断と、現場の事情を汲んでルールを崩した判断が、それぞれどれくらいの割合を占めていたかを数えてみてはいかがでしょうか。前者の比率が高ければ、自動化の効果が見込める業務です。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
プロジェクト実施・導入企業
出光興産株式会社
燃料油を取り扱い、特約販売店が運営するサービスステーション(SS)などへタンクローリーで配送を行う企業。約70名の配車担当者が1日約5,000件の配送オーダーに対し、最大1,800台のタンクローリーの積み合わせを含む配車計画を作成している。
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