実施時期: 2023年01月|2026.06.02 最終更新
プロジェクト期間: 半年〜 1年
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プロジェクト概要
アプローチと成果
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こんな課題を持つ企業におすすめの事例です
生命活動や病気のメカニズムと深く関わっているタンパク質は、さまざまな形態をとることで生体内の他の分子と相互作用しています。そのため、ウイルスへの感染を抑制する薬などを効率的に設計するには、薬の標的となるタンパク質の形態や構造変化の様子を正確に把握することが重要です。しかし、タンパク質はそれぞれの原子が3次元の座標を持つ高次元データであり、標的タンパク質の広範囲な構造変化を捉えるためには、高度な専門知識と試行錯誤が求められていました。
結果として、長期におよぶ研究期間と多くの研究開発費用が必要となることが、創薬現場における大きな課題となっていました。こうした背景から、富士通株式会社と国立研究開発法人理化学研究所は、創薬の開発期間や費用を劇的に削減する次世代IT創薬技術の開発を目指し、共同研究を開始しました。
本プロジェクトでは、富士通独自の生成AI技術「DeepTwin(ディープツイン)」と、理化学研究所が持つ創薬分子シミュレーションの知見を融合させた新たなAI創薬技術を開発しました。具体的には、標的タンパク質の大量の電子顕微鏡画像から、立体構造の多様な形態とそれらが取り得る割合を正確に推定する生成AI技術を構築しています。さらに、タンパク質の立体構造という高次元データを低次元化された特徴量に変換し、化学分野で使われる反応経路の分析を適用可能にする技術も開発しました。
この低次元での分析結果を独自の生成AIによって元の高次元データに復元することで、タンパク質の構造変化を3D密度マップの連続的な変形として予測する仕組みを実現しています。スーパーコンピュータ「富岳」を活用した大規模な画像データの処理も組み合わされ、高度な予測モデルが構築されました。
改善・向上したこと
対応時間・リードタイムの短縮
コスト削減
生産性向上
推進したこと
新サービス・製品開発
プロトタイプ開発(PoC)
開発されたAI創薬技術により、従来の手順に比べて10倍以上高速に、大量の電子顕微鏡画像からタンパク質の形態と構造変化の推定が可能になりました。実際にタンパク質合成に関わる特定のタンパク質を本技術に適用したところ、構造変化の予測にかかる時間を従来の1日から2時間へと大幅に短縮することに成功しています。
これにより、細菌やウイルスなどの標的タンパク質に結合する薬剤の設計過程が革新され、製薬企業の創薬プロセスの迅速化・効率化に大きく貢献することが期待されています。今後は、この生成AI技術をコア技術の一つとして活用し、標的タンパク質と抗体の複合体解析や分子の大域的な構造変化を高精度かつ高速に予測する次世代IT創薬技術の実現を目指していく方針です。
全社共通・汎用業務
研究開発
製造
研究開発支援
医療・ヘルスケア
創薬支援
ゲノム・タンパク質構造解析
画像・動画・3D
電子顕微鏡画像
採用したAI技術
画像AI
3D密度マップ復元
AIモデル・構築手法
(RAG / ファインチューニング / 他)
DeepTwin
その他のツール
構築・利用したデータ基盤・インフラ
スーパーコンピュータ富岳
WarpBiz編集部の事例考察
成功の最大の要因は、高次元の構造分布から本質的な性質を保存した低次元の潜在分布を獲得する生成AI技術を活用した点です。このアプローチは、材料科学や化学分野など、複雑な分子構造の解析を伴う他業種の研究開発にも応用できる可能性があります。導入にあたっては、学習用の高品質なデータ(電子顕微鏡画像など)を大量に確保できるかがハードルとなるでしょう。同様のAI活用を検討される方は、ぜひ他の研究開発事例もご覧ください。
関連度の高い事例を選定しています。少しお待ちください。