実施 2024.07 ・ 更新 2026.08.17
大手町タワーの警備にAI異常検知、監視カメラ44台で違和感を捉える運用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 警備や監視の人員が集まらない
- カメラ映像の目視確認がつらい
- 異常の見落としが不安
どのようなAIの取り組み?
AI画像解析で監視カメラ44台を常時チェックし、警備員が確認すべき映像を絞り込んだAI取り組み
業種
オフィス・複合施設の管理/警備(不動産・セキュリティ)
取り組み領域
施設警備/カメラ映像の監視
使ったAI
AI画像解析による異常検知(icetana)
主な成果
監視カメラ44台の常時検知で警備員の確認負担を大幅に軽減
東京都心部の大規模複合施設である大手町タワーで、監視カメラ44台を対象としたAI画像解析の運用が始まっています。施設管理を担う東京建物と、警備実務を担う綜合警備保障(ALSOK)およびALSOK東京が、マクニカの提供するAI画像解析ソリューション「icetana」の導入を決めたものです。マクニカは代理店として営業と技術の両面から支援にあたり、施設入口での車両の逆走が基本機能では検知できないと判明した段階では、メーカーであるicetana Limitedと協議を重ね、あらかじめルールを設定して事象を捉える仕組みを追加しています。並行して、ALSOK東京の警備隊長を中心に、AIの検知結果を活かすための警備体制の変更など、運用面の組み替えも進められました。
出典:icetana 異常検知の仕組み - AI事業 - マクニカ 発行元:株式会社マクニカ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
警備の現場でも人手不足は深刻な課題となっており、大手町タワーでは、人に頼りきらない形で持続的な物件管理と高度なサービス提供を両立させる必要がありました。
ただ、この困りごとの本質は、単に警備員の頭数が足りないことではなかったと考えられます。目視による監視は、見られる範囲と時間帯が、その場に投入できる人数にそのまま比例します。カメラの台数をいくら増やしても、映像を見る目が増えなければ実際に見えている範囲は広がりません。しかも異常は、いつどこで起きるかを事前に指定できない事象です。そうなると人員配置は、起きるかどうか分からないものに備えて厚く張るか、薄く張って見落としのリスクを飲むかの二択に追い込まれます。この二択の構造を崩さないかぎり、警備体制の維持は採用がうまくいくかどうかに握られ続けることになります。
どうやって、うまくいったのか
AIが自動で学習する「いつもと違う」の検知と、人があらかじめ決めたルールによる検知を、同じ仕組みの中で併用したことが第一の要因でしょう。施設入口では車両の逆走が禁止されていましたが、基本機能だけではこれを捉えられませんでした。ここを現場の妥協で処理せず、代理店であるマクニカがメーカーのicetana Limitedと協議を重ね、特定のルールを設定して事象を精度高く検知する仕組みを新たに実装しています。何を異常とみなすかを機械に見つけさせる領域と、人が先に定義しておく領域を切り分けた設計が、実運用に耐える検知を成立させたのではないでしょうか。
第二に、導入をカメラとソフトの設置で終わらせず、検知が出たあとの動き方まで作り替えた進め方が効いています。ALSOK東京の警備隊長が中心となって、AIの検知結果を効果的に運用するための警備体制の変更が進められました。異常らしき映像が挙がっても、誰がそれを確認し、どの順で現場に向かうかが決まっていなければ、増えるのは通知だけです。検知の精度を上げる作業と、受け手側の手順を組み替える作業を同時に走らせた点に、この取り組みの実務的な強さがあります。
第三に挙げたいのが、過去の実証実験で効果に手応えを得ていた警備会社の経験を、体制の中にそのまま織り込んだ座組みです。何を違和感として扱うべきかの土地勘は、その現場で実際に警備をしてきた側にしか蓄積されません。技術面を担う側と現場判断を担う側を明確に分けて配置した構成が、要件のすり合わせを速く回す土台になったと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
人手に頼っていた頃は、監視できる範囲も時間帯も投入できるリソースの内側に収まっていましたが、AIによる常時・広範囲の検知が働くようになり、日常業務では発見が難しい異常も捉えられるようになりました。警備員はAIが違和感を検知した映像を中心に確認して対応する形へ移り、業務負担の大幅な軽減と迅速な初動対応につながっています。過去の異常検知映像へ素早くアクセスできるようになったことで、報告資料の作成といった付随業務の効率化という副次的な成果も生まれています。
うちでも使える?
相性がよいのは、カメラで広い範囲を常時見ており、なおかつ「ふだんの状態」が繰り返し現れる場所です。工場や倉庫、公共交通機関のように、日常の動きにある程度の型がある現場であれば、そこからの逸脱を機械が拾う余地があります。加えて、逆走の例のように「これが起きたら必ず知らせてほしい」と言語化できる事象を持っていることも、応用の見込みを高める条件になります。
逆に、人や車の動きが日によって大きく変わり、何が平常なのかが定まらない現場では、違和感の基準そのものが揺れて通知が増えるだけになりかねません。もう一つ見落とされやすいのが、検知後の体制です。この事例でも警備隊長が中心となって隊の動かし方を変えていますが、映像が挙がったあとの担当と手順を組み替えられない組織では、負担は減らずに確認作業が上乗せされる可能性があります。
試すなら、直近で実際に起きたトラブルや報告事案をいくつか取り出し、それが「ふだんと違う映り方」として画面に出ていたのか、それとも逆走のように先にルールで指定しておくべき事象だったのかを仕分けしてみてはどうでしょうか。この振り分けができれば、自社に必要なのが学習型の検知なのか、決め打ちの検知なのかが見えてきます。
この事例は2024年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
マクニカ
AI事業を展開し、異常検知AI「icetana」を取り扱う代理店。営業・技術両面でのicetana導入支援を行い、メーカーとの橋渡し役として日本の警備現場の声を開発部門へ伝え、システム改良に貢献している。
東京建物
出典・参考情報
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