実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.17
営業の訪問準備と報告を30%削減、明治安田生命3万6000人のAIエージェント
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 訪問前の下調べに時間を取られる
- 提案づくりが担当者任せになっている
- 報告書作成で顧客と話す時間が減る
どのようなAIの取り組み?
顧客データを分析するAIエージェントで、営業職員の訪問準備から訪問後の報告までを支援し、作業時間の30%削減につなげたAI取り組み
業種
生命保険(金融・保険)
取り組み領域
営業/訪問準備・報告業務
使ったAI
AIエージェント「MYパレット」(生成AI)
主な成果
訪問準備と報告作業の時間を従来比30%削減
明治安田生命保険は、約3万6000人の営業職員が日々の活動で使うAIエージェント(担当者に代わって一連の作業を進めるAI)「MYパレット」を営業現場に配備しました。顧客の年齢や趣味・嗜好、過去の契約履歴、地域特性といったデータをAIが読み解き、そのお客様のライフステージに合った保険商品やサービスを提示します。訪問先で聞き取った内容は音声で入力でき、入力データをもとにお礼文が自動で作られる仕組みも組み込まれました。これらを支えるのが、クラウドプラットフォームであるMicrosoft Azure上に整えた「AI Hub プラットフォーム」で、社内で管理する顧客データを営業の現場から即座に引き出せる状態をつくっています。開発はアクセンチュアとの包括的パートナーシップ契約のもとで進められ、訪問準備と報告作業の時間は従来比で30%削減されました。
出典:明治安田生命、全社での生成AI活用視野に営業職3万6000人が使うAIエージェントを導入 - DIGITAL X(デジタルクロス) 発行元:DIGITAL X(デジタルクロス)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
訪問前の下調べと提案内容の作成は、これまで担当者が一人ひとり個別に行うものでした。地域や顧客ごとにニーズが多様化するなかで扱う情報は増え、その管理が煩雑になり、準備そのものに膨大な時間を割かざるを得ない状態が続いていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は作業量の多さそのものではなく、顧客を理解するための材料が担当者個人の手元にしか集まらない構造にあったのではないでしょうか。契約履歴も地域の事情も会社の側には存在しているのに、それを提案の形へ組み立てる工程が個人作業として閉じていれば、担当者は訪問のたびに調べ直すところから始めることになります。同社が特定の部署ではなく全社横断の組織を立ち上げて検討に入ったのは、この課題を個々の営業スキルの巧拙ではなく、組織の中の情報の流れの問題として捉えたためと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
新規開拓からアフターフォローまで、営業プロセスの全体を一つのAIエージェントに担わせた設計が、この取り組みの骨格になっています。提案書の作成だけ、あるいは記録の入力だけを切り出して支援する形では、担当者は場面ごとに別の道具へ持ち替えることになり、そのたびに情報を入れ直す手間が生まれます。一連の流れを「デジタル秘書」という一つの窓口に束ねた発想は、機能の多さより、担当者の一日の動きに沿って途切れないことを優先した判断だと読めます。
訪問直後の入力を音声で受け止め、そこからお礼文の作成まで自動でつなげた導線も、実務に食い込むための重要な工夫です。聞き取った内容を後からキーボードで打ち直す運用では、入力は移動後や帰社後に持ち越され、記憶が薄れるほど記録は痩せていきます。話した内容がそのまま次の文書の材料になる設計は、記録を「報告のための作業」から「次の提案の材料集め」へ位置づけ直すものと言えるでしょう。
顧客データを現場から即時に使える基盤を先に整えた順序も見逃せません。AI Hub プラットフォームという共通の土台があってはじめて、年齢や契約履歴、地域特性といった性質の異なるデータを一つの提案として束ねられます。約3万6000人という利用規模を前提にすれば、個別の便利機能を積み上げる進め方より、全員が同じデータへ同じ経路で届く状態をつくる進め方のほうが理にかなっており、アクセンチュアとの包括的なパートナーシップという体制も、この基盤整備と現場展開を並行させるための組み立てとして機能しています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
AIエージェントの活用により、営業担当者の訪問準備や報告作業にかかる時間は従来比で30%削減されました。生まれた余力は、顧客との対話やきめ細かな対応へ振り向けられています。今後は営業部門にとどまらず、本社や事務職員を含む全職員への展開が視野に入っており、ヘルスケアや法務、教育といった専門領域では特化型の生成AIを順次開発していく方針が示されています。削減された時間の使い道まで設計に含まれている点が、この成果の性格をよく表しています。
うちでも使える?
訪問前の下調べと訪問後の記録が担当者ごとに完結している営業組織であれば、規模を問わず考え方は応用できます。とくに、顧客の属性や取引履歴が社内のシステムに蓄積されていて、それを提案へ結びつける工程だけが個人任せになっている場合は、効果が出やすい構図でしょう。不動産営業や法人のルート営業のように、相手ごとに提案の中身が変わる仕事とは相性が良さそうです。
一方で、顧客に関する情報が担当者の手帳や個別のファイルに散らばり、社内で参照できる形になっていない段階では、AIに渡す材料そのものが足りません。提案の決め手が長年の関係性や交渉の場の呼吸に強く依存する商材でも、機械が組み立てられる部分は限られます。数万人規模を前提としたデータ基盤の整備をそのまま真似る必要もありません。
まず試すなら、直近に送ったお礼や報告の文面を何通か並べ、どこまでが毎回同じ骨格で、どこからが相手ごとに変わる部分なのかに線を引いてみてはいかがでしょうか。その線引きが、自動化してよい範囲の輪郭になります。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
明治安田生命保険
生命保険会社。2030年までの10年計画「MY Mutual Way 2030」で「人とデジタルの効果的な融合」を重点方針の1つに掲げ、DX戦略を推進。2024年からの中期経営計画2期では「生命保険の役割を超える」をテーマに、ひと中心経営の推進と働きがいの向上、IT・デジタル投資のさらなる推進に注力している。
出典・参考情報
明治安田生命、全社での生成AI活用視野に営業職3万6000人が使うAIエージェントを導入 - DIGITAL X(デジタルクロス)
発行元:DIGITAL X(デジタルクロス)
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