株式会社ELYZA
大規模言語モデル(LLM)の社会実装を進める企業。代表取締役は曽根岡侑也。RAG技術を用いた生成AIを、自社が開発するLLM実用化プラットフォーム「ELYZA App Platform」経由で提供している。
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※イメージ画像です01 — Overview
キャッシュレス決済の広がりでカードの新規申し込みや利用が増え、あるクレジットカード事業者のコンタクトセンターには月間約50万件を超える問い合わせが寄せられていました。この現場に入ったのが、株式会社ELYZAが提供する生成AIです。RAG(社内の文書を検索し、その内容をもとにAIが回答を組み立てる仕組み)を用いて、問い合わせの内容に応じて社内データを探索し、回答の草案を自動で作ります。土台にはELYZAのLLM実用化プラットフォーム「ELYZA App Platform」が使われており、高いセキュリティ基準が求められる金融機関の窓口でも情報漏洩などのリスクを抑えて運用できる点が評価されました。適用はまずメールでの回答業務から始まり、2024年6月末に本番利用が開始されています。
出典:三井住友カードとELYZA、お客さまサポートにおける生成AIの本番利用を開始 | 三井住友カード株式会社のプレスリリース(発行元:三井住友カード株式会社)
02 — Problem
月間50万件を超える問い合わせに対し、対応品質を落とさずに処理できる件数も増やしたい。コンタクトセンターが置かれていたのは、この二つを同時に満たさなければならない状況でした。キャッシュレス決済が普及するほど申し込みも利用も増えるため、問い合わせは放っておいても積み上がっていきます。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は単純な人手の不足ではなく、1件ごとの回答を組み立てる過程にあったのではないでしょうか。カードの問い合わせには、規約や手続きの条件を正しく踏まえた回答が求められます。オペレーターは答えの根拠が社内のどこにあるかを探し、確認し、文面に起こす。この探して確かめる時間が1件ごとに積み重なる限り、人員を増やしても処理量は比例して伸びにくい。さらに金融機関という立場上、顧客情報が外へ流れる懸念を払拭できなければ、AIを業務に載せる判断そのものが下せません。
03 — Key points
AIの担当範囲を回答の草案づくりに絞り込んだ設計が、この取り組みを実務に載せた要因の一つと考えられます。顧客へ届く文面を最終的に判断するのは引き続き人であり、AIは探索と下書きという時間のかかる部分だけを引き受けます。この切り分けであれば、草案の内容が不十分だったとしてもオペレーターの確認工程で止まるため、対応の品質を人の目で担保したまま、処理の速さだけを引き上げることが可能になります。
回答の根拠を社内データに置いたRAGの構成も効いています。汎用の言語モデルに一般論を答えさせるのではなく、問い合わせのたびに自社の情報を検索し、そこで見つかった内容をもとに草案を組み立てる。規約や手続きの条件が回答の正確さを左右するカード業務では、モデルが学習済みの知識だけで書いた文章は実務に耐えません。答えの出どころを社内文書に固定した点が、下書きを人が検討に使える水準へ引き上げたのではないでしょうか。
導入の順序と土台の選び方にも判断が表れています。ELYZAが開発するLLM実用化プラットフォームという既存の基盤に業務を載せる形をとったことで、金融機関に課される高いセキュリティ要件への対応を、個別開発でゼロから積み上げずに済みます。適用先を最初からすべての窓口へ広げず、即時性の要求が比較的緩く、やり取りが文面として残るメール回答業務から着手したのも、実運用で確かめながら範囲を広げるための現実的な段取りです。
04 — Results
2024年6月末、コンタクトセンターのメール回答業務で生成AIの本番利用が始まりました。年内を目処に、同じ生成AIをチャットでの問い合わせ対応にも展開し、業務用アプリケーションへのAPI組み込みも予定されています。これらが揃った段階で、オペレーターの問い合わせ対応にかかる時間は最大60%程度短縮される見込みです。確定した実績ではなく、適用範囲を広げていくことを前提にした見通しである点は、読み取るうえで押さえておきたいところです。
05 — For your company
応用が利きやすいのは、似た趣旨の問い合わせが繰り返し届き、その答えの根拠が規程やマニュアル、FAQといった社内文書としてすでに文章の形で残っている窓口です。保険や通信、ECなど、大量の問い合わせを受ける現場であれば、回答そのものを自動で送るのではなく草案づくりまでをAIに任せる形は検討する価値があります。
逆に、回答が顧客ごとの個別事情の判断に大きく左右される場合や、答えの根拠がベテランの記憶の中にしかない場合は、検索しても手がかりが見つからず草案の精度が上がりません。草案を確認する人手が確保できない状況でも、確認の手間が増えるだけで終わる恐れがあります。
まずは直近に送った返信メールを数本開き、その回答を書くときに社内のどの資料を見たのかを一つずつたどってみてはいかがでしょうか。たどれる資料がある問い合わせと、たどれない問い合わせの割合が、そのまま適性の目安になります。
06 — Company
大規模言語モデル(LLM)の社会実装を進める企業。代表取締役は曽根岡侑也。RAG技術を用いた生成AIを、自社が開発するLLM実用化プラットフォーム「ELYZA App Platform」経由で提供している。
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07 — Category
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