実施 2024.09 ・ 更新 2026.08.17
学習指導要領に限定した学校向け生成AI、大阪市立小中学校で先行利用へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIが不適切な回答を返さないか不安
- 一人ひとりに合わせた支援まで手が回らない
- 現場スタッフの負担を減らしたい
どのようなAIの取り組み?
学習指導要領や教材など信頼できるデータだけを参照範囲に設定した対話型の生成AIを、学校教育向けソリューションに組み込んだAI取り組み
業種
公立小中学校(教育・自治体)
取り組み領域
学習支援/教員の校務支援
使ったAI
対話型生成AI(参照データを限定、複数種類のデータに対応)
主な成果
2024年9月より大阪市立小中学校の一部で先行利用開始予定
コニカミノルタジャパンとコニカミノルタが、学校教育向けソリューション「tomoLinks」に、教育現場に密着した対話型生成AI機能を新たに開発しました。学習指導要領や教材といった信頼できるデータのみを設定することで、有害なキーワードや不適切な回答を排除する設計です。さらに、自治体や学校が持つ学力調査データやドリルの取り組み状況を組み合わせ、複数種類のデータを扱えるAI機能を搭載。子どもの学習進度に合わせて対話しながら学べる教育データ活用基盤としています。入力画面には子どもが親しみやすいキャラクターを模したインターフェースを採用しました。大阪市教育委員会との連携協定のもと、2024年9月から大阪市立小中学校の一部で先行利用が始まる予定です。
出典:教育専門知識と教育ビッグデータを活用したソリューション「tomoLinks」教育現場に密着した対話型生成AI機能を開発 - ビジネスソリューション | コニカミノルタ 発行元:コニカミノルタジャパン株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
教育現場では、学習や日常生活で情報技術を使いこなす力を育てる目的で、一般的な対話型生成AIの活用が進められてきました。ところが既存の生成AIはインターネット上の膨大な情報をもとに答えを組み立てるため、学校教育には不向きな情報や有害な内容が返ってしまうリスクが指摘されていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの核心は「AIの回答の質」ではなく、「答えの出どころを学校側が決められない」という構造そのものにあったのではないでしょうか。教室で使う教材や指導内容は、本来かなり厳密に範囲が定められています。にもかかわらず、汎用の生成AIはその枠の外側から自由に答えを持ってきてしまう。教師が一つひとつの回答を確認して回るような運用では現実的に立ちゆかず、使う前の段階で範囲を確定させる必要があった、と読み解けます。
どうやって、うまくいったのか
参照させる情報を学習指導要領や教材といった信頼できるデータのみに設定した点が、この取り組みの土台になっています。出てきた答えを後から判定して弾くのではなく、AIが見に行く先そのものを教育現場の正規の資料に限定する。この順序の置き方が、有害なキーワードや不適切な回答を排除する仕組みを、現場での確認作業に頼らない形で成立させたと考えられます。
学力調査データやドリルの取り組み状況といった、自治体や学校がすでに手元に持つデータを組み合わせた設計も見逃せません。汎用の生成AIには、目の前の子どもがどこでつまずいているかという情報がそもそも存在しません。学校側にしかない学習履歴を接続し、複数種類のデータを扱えるAI機能として束ねたことで、一般論の解説ではなく、その子の進度に沿った対話が成り立つ基盤になりました。安全性のための範囲限定と、個別最適のためのデータ接続が、同じ「参照先を設計する」という一つの発想でつながっています。
利用者が子どもであることを前提に、親しみやすいキャラクターを模したインターフェースを採用した工夫も、機能の付け足しとは違う意味を持ちます。質問や意見、困っていることを気軽に入力できるかどうかは、学習履歴が集まるかどうかを左右します。入力のハードルを下げる設計が、個別最適な支援に必要なデータを現場から自然に引き出す役割まで担っていると見ることができます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
この機能は、大阪市教育委員会との連携協定のもと、2024年9月より大阪市立小中学校の一部で先行利用が始まる予定の段階にあります。対話型生成AIが教員のアシスタントとして働くことで、教員の業務負担を軽くしながら、子ども一人ひとりに合った学習支援につなげることが期待されています。今後は動画教材の視聴情報や授業中のノート、画像といった多様なデータを統合し、その分析結果を対話型生成AIと組み合わせる計画で、実証研究を通じて効果的な事例を積み上げていく段階です。
うちでも使える?
参照させてよい情報の範囲を、あらかじめ文書として確定できる業務であれば、この考え方は業種を問わず応用が利きます。守るべき基準や正規の手順書が定まっている領域、たとえば厳密な情報管理が求められる分野の社内向けAIアシスタントは、相性がよい部類でしょう。逆に、正解が文書として定まっておらず、その場の状況判断で答えが変わる相談業務では、参照先を絞る効果は限定的になります。個別最適な支援まで踏み込むには、利用者ごとの履歴が電子的に蓄積されていることが前提になる点も、この事例の性質から押さえておきたいところです。また、個人データやログを扱う以上、プライバシー保護とデータガバナンスの整備は避けて通れません。
最初の一歩としては、自社で「AIに読ませてよい資料」と「読ませたくない資料」の線引きが、今の管理状態のまま引けるかどうかを確かめてみてはいかがでしょうか。最新版がどれか即答できない資料が多いなら、範囲を絞る設計はそこから始まります。
この事例は2024年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
コニカミノルタジャパン株式会社
学校教育向けソリューション「tomoLinks」を提供する企業。代表取締役社長は一條啓介。ICW事業統括部 教育DX事業開発部が教育DX事業を担当。
大阪市教育委員会
出典・参考情報
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