実施 2024.06 ・ 更新 2026.08.17
AI教材が指導を担い講師は面談へ、国公立大合格6名から42名の学習塾
プロジェクト期間:2年 〜 3年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 教えられる人材が採れず教室を増やせない
- 一人ひとりに合わせた対応まで手が回らない
- サービスの質が担当者ごとにばらつく
どのようなAIの取り組み?
AI教材に知識の指導を任せ、講師は面談や目標設定の支援に回すことで、少ない人数での教室運営に取り組んだAI取り組み
業種
学習塾(教育・学習支援業)
取り組み領域
教室運営/学習指導
使ったAI
AI教材「atama+」(学習データ分析AI)
主な成果
国公立大学の合格実績が6名から42名へ拡大
atama plus株式会社は、生徒ごとに学習内容を組み立てるAI教材「atama+」を開発し、これを軸に据えた学習塾「進学個別atama+塾」のフランチャイズ展開を進めています。累積で7億件にのぼる解答データをもとに、AIが理解度と記憶の定着具合を判定し、教科ごとの性質に合わせたカリキュラムを提示します。教室では知識を教える役割をAIが担い、講師は学習データを見ながらの目標設定の支援や面談といったコーチングに回ります。料金は授業のコマ数に応じた課金ではなく定額の通い放題とし、生徒が費用を気にせず自分のペースで学び切れる環境を整えました。この組み合わせにより、指導経験の長短を問わず、従来より少ない人員で教室を運営できる形が生まれています。
出典:atama plus、AI活用で個別最適な学びを届ける「atama+塾」のフランチャイズ展開を開始 | atama plus株式会社のプレスリリース 発行元:atama plus株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
学習塾の現場では、講師を確保できないことと、教室をどう回すかのノウハウが十分に溜まらないことが重なっていました。そこに、地方と大都市圏で受けられる教育機会の差が広がるという懸念が重なる一方、生徒側では一人ひとりに合った学びを求める声が強まっています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は講師の頭数ではなく、「誰に何をどの順で教えるか」という判断が講師個人の経験に張り付いていたことにあります。判断が個人に紐づいている限り、経験を積んだ講師がいる教室でしか質を保てず、人が採れない地域ほど提供できる中身が痩せていくことになる。人材不足という言葉でひとくくりに語られていた事象の下にあったのは、指導の質が人の移動によってしか運べないという構造上の制約だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
知識を教える仕事と、生徒を動かす仕事を切り分け、前者をAI、後者を人に割り当てた役割分担が、この形態の中核にあります。教える内容の判断をAI側に移したことで、講師に求められる能力は「教科を教え込む力」から「データを読んで生徒と話す力」へと置き換わりました。属人化していた部分だけを機械に寄せ、人にしか担えない部分を残すという線の引き方が、指導経験の浅い講師でも教室を成立させる条件をつくったと考えられます。
その線引きを支えているのが、累積7億件という解答データの蓄積です。理解度と記憶の定着度という、講師が経験則で感じ取っていた要素を判定の対象に置き、しかも教科ごとの性質に合わせてカリキュラムを組み分けている点は見逃せません。ここを一律の学習順に丸めてしまえば、生徒ごとの詰まりを外した教材になりかねず、個別最適という看板だけが残ります。教科の違いを設計に織り込んだ細かさこそが、AIにティーチングを任せる判断を現実的にしているのでしょう。
見落とされやすいのが、定額の通い放題という料金設計です。学習量をAIが生徒ごとに決める仕組みと、コマ数に応じて課金する仕組みは本来かみ合わず、生徒が費用を理由に学習量を加減した瞬間、最適化された計画は絵に描いた餅になります。個別最適を技術だけで終わらせず、料金の側まで合わせにいった設計は、AI活用を業務に載せる際の勘所を示していると受け止められます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
直営の教室と、先行してこのモデルへ切り替えた「超個別指導塾まつがく」では、従来より少ない運営リソースのまま実績が伸びています。まつがくの大学合格実績は、国公立大学が2020年度の6名から2024年度には42名、私立大学は12名から235名へと拡大しました。同じ期間に生徒数も18%増えています。生徒からは「やることを自分で決められる」「丁寧に学習の進捗管理をしてもらえる」という声が出ており、自分で学習を進める姿勢が定着した点は、数字と並べて押さえておきたい変化です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、正解や到達度をデータで判定でき、かつ知識が積み上げ式になっている領域です。製品知識を前提とする接客や社内研修、問い合わせ対応のように、「覚えるべき中身」と「相手を動かすやり取り」が分けられる仕事であれば、前者をAIに寄せて人を後者に集中させる形は検討に値します。
一方で、成果の判定に時間がかかる仕事や、正解が一つに定まらない仕事では、この切り分けはうまく機能しません。AIが出す判定を信頼できるだけのデータが手元に無い場合も同様で、この事例で言えば7億件規模の蓄積が判定の土台になっていた点は差し引いて考える必要があります。加えて、講師がコーチングへ移ったように、担当者にはデータを読み解いて相手の意欲を引き出す別種のスキルが要ります。ここは新しい育成課題として構えておきたいところです。
まずは自分の部署の一日を思い浮かべ、「教えている時間」と「相手のやる気や段取りを整えている時間」のどちらに人手が食われているかを見てみる。前者に偏っているなら、この形態は他人事ではありません。
この事例は2024年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
atama plus株式会社
「教育に、人に、社会に、次の可能性を。」をミッションに掲げ、AIを活用した教育サービス・プロダクトの開発・提供を行う企業。生徒一人ひとりに最適化された学習カリキュラムを作成するAI教材「atama+」を全国47都道府県の塾・予備校4,000教室以上(2024年3月現在)に提供し、2023年からは中高生・既卒生向けの「atama+ オンライン塾」の運営も開始。代表取締役CEOは稲田大輔。
超個別指導塾まつがく
出典・参考情報
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